神保町や秋葉原にはしょっちゅう行くのだが、神田駅周辺に行くことはめったにない。今日はちょっとした気まぐれで、出先から神田に立ち寄ってみた。めったに行かないから不案内だ。ふらふら歩いていると西口商店街の入り口があったので入ってみる。
すると、こんな立て看板を発見。タイ料理で630円とは非常に安い。
入り口に大きなメニューがかけられていた。かなりの種類がある。
店は2階にあり、入り口はちょっと入りにくい雰囲気。
午後3時という中途半端な時間だったが、営業中となっていたので入ってみた。
初心者注文禁止の料理
店内は銀色のテーブルと椅子が置かれていて屋台風。
カオマンガイやカオカームーなど、タイ料理の中でも中華寄りの辛くないメニューもある。カオマンガイは大好物なので一応の第一候補として他にどんなものがあるか見ていった。
と、
※警告-初心者注文禁止!
などと書かれたものがあった。
魚と塩漬けタケノコの辛いカレー。
ヒリヒリする辛さと酸味、独特のくさみがあるゲーン・ソムは、タイ料理上級者向けです。
主にタイ南部で食べられるカレーで、タマリンドの酸味と塩漬けタケノコの風味が特徴。
一度はまったらヤミツキになる味です。
なるほどなるほど、説明文だけ読んでも日本人には向かなそうな料理だ。だがそこがいい!
迷わずこれを注文した。
注文すると「カレーは辛いですけど大丈夫ですか?」と念押しされたが、もちろん大丈夫だと答えた。
辛いものが食べられるとおいしさの幅が広がる
もう30年以上のつきあいがある武術の師匠には、本当にありがたいことからどうでもいいようなことまで様々なアドバイスをいただいて感謝しかない。
そんな中でもわりとどうでもいい方に属するのが「辛いものを食べられるようになっておけ」というものだ。
これは、自分が中国に留学することが決まったときにいただいたアドバイスである。
師匠も中国に留学しており、というか師匠が中国で学んできたからこそ自分も留学を希望したわけだが、その留学経験から、中国に行くなら辛いものを食べられるようになっておいたほうがいいとのお言葉だった。
そこで、普段食べるものに少しずつ辛いものを取り入れたり、七味唐辛子や一味唐辛子をいろんなものにぶっかけたりなどして辛さになれる訓練をした。
辛味というのは痛覚だから、軽度からレベルを上げていけばある程度慣れる。
実際留学してみると、西安の場合は辛い料理ばかりではないとは言っても、辛い料理に出くわす率も高かった。その辛さは「要不要辣(辛くするか?)」と聞かれて「要一点(ちょっとだけね)」と言うとだいたい日本の激辛ぐらいになるというレベルだった。
辛さ耐性の訓練をしておいてよかったと、あらためて師匠に感謝をしたものだった。
最初は留学での食生活に耐えるためだったが、辛いものを多く食べるようになるとだんだんそのおいしさに気づき、積極的に辛いものを食べるようになっていった。
日本で生活するにおいて、辛さ耐性というのはまったく必要がない能力だ。だが、辛いものを食べられるようになると、おいしいものの幅が広がる。今日もまたもう20年以上前の師匠の言葉に感謝することになった。
辛くてすっぱくて、そしてうまい
ほどなく、ゲーン・ソム・プラー・ノマイドーンのセットが運ばれてきた。
米は大盛りのタイ米。
そしてこれがゲーン・ソム・プラー・ノマイドーン。
黄色いたくあんのように見えるのがたけのこで、中央の茶色っぽいのが魚。
つけあわせにゴーヤーとたまごの炒めもの、高菜漬けのような漬物とたまごの炒めもの。
沖縄にはチキナーチャンプルーという塩漬け菜っ葉の炒めものがある。葉物野菜の漬物は炒めてもうまいのだ。
さて、タイ料理にはそれなりに親しんではいるものの、タイに行ったことはない初心者の私だから、まずはゲーン・ソム・プラー・ノマイドーンの汁の部分だけをすすってみた。
すると、多少の生臭さとほのかな酸味、そして確かに「ヒリヒリ」と描写されるような辛味が来て、うまい!と声が出た。
くさいといってもたいしたことはない。日本人なら馴染みがある魚介の匂いだ。
酸味はツーンとするようないやな酸っぱさではなくむしろ食欲をそそる。
辛さは確かにかなりのレベルだ。辛さに慣れない人がうっかり食べないように警告を入れておくのは正しい判断だと思える。といっても辛さで味がわからなくなるほどではない。
たけのこは塩漬けというが、ちゃんと塩抜きしてあるらしくうげっとなるほどのしょっぱさはない。
なによりうまい。
タイ料理にはまだこんなうまいゲーンがあるのかと感激した。個人的感想として言うならゲーン・マッサマンよりもいうまい。
合間にたまごのやさしい甘さを挟みながら夢中で食べる。
大盛りといっていい量のご飯がどんどん減っていく。
辛さで頭頂部から汗が出る。
ほぼ一気食いというような勢いで、全部食べてしまった。
こんなにおいしいものを食べられるなら、辛さ耐久訓練も無駄ではなかった。
ところで630円というのは税抜価格で、会計は680円だった。それでも十分すぎるほど安い。
タイ料理 あろいなたべた(aroyna tabeta)
ジャンル:タイ料理 居酒屋
アクセス:JR神田駅 徒歩2分
住所:〒101-0047 東京都千代田区内神田3-8-7 星座ビル2F(地図)
ネット予約:タイ料理 あろいなたべた(aroyna tabeta)のコース一覧
周辺のお店:ぐるなび 神田×タイ料理
情報掲載日:2019年1月10日