馬子禄牛肉面

このブログを始めようと思った時に、一番最初の記事で取り上げたいと思っていたのが神保町の馬子禄さんだ。馬子禄は中国は蘭州にある蘭州拉麺の専門店で、この店はいわば「暖簾分け」にあたる。

実は蘭州拉麺を名乗る店が日本にできたのはここが初めてではない。10年以上は前になるだろうか?池袋に蘭州拉麺を看板に掲げた店ができたというので食べに行ってみた。しかしその店のものは蘭州拉麺とは名ばかりで、本物の蘭州拉麺とは程遠いものだった。だから、日本で本物の蘭州拉麺を出したのは、やはり馬子禄が初めてだと言っていいだろう。

看板に牛肉“面”とあるのは牛肉麺のこと。面は麺の簡体字。



蘭州拉麺の思い出

1994年に中国の西安に留学した。西安を省都とする陝西省は寧夏回族自治区や蘭州を含む甘粛省と隣接しており、回族が多い。西安の城壁内には回族が集まって暮らす「回民街」もあるが、それ以外の地区にも回族の店は散見された。

私が行っていた学校の近くにも、回族の蘭州拉麺の店があって、日本人留学生たちもよく通っていた。

蘭州拉麺といえば回族の料理だ。馬子禄の上のほうにある看板に「清真」とあるのはイスラームを意味し、清真の看板が掲げられた店はハラールフードを扱うことを意味する。だから中国では回族やウイグル人などのムスリムが外食するときは清真が掲げられた店にしか行かない。

初めて牛肉麺を食べておどろいたのは麺のうまさだった。麺とはこんなに小麦の味がして、そして小麦とはこんなにおいしいのかというのが最初の感想。考えてみれば、日本の蕎麦だって讃岐うどんだって、まず麺がうまいことが前提で、つけダレやつゆというのは麺のうまさを引き立てる脇役だ。蘭州拉麺もまた、麺自体のうまさを味わうものだった。

ちなみに、その当時牛肉麺は1杯5元。当時のレートは1元=12円だったので、日本円にすると60円程度になる。改革開放の時代ではあったが、まだ本格的な経済発展が始まる前だった。シェラトンやヒルトン、ANAのホテルなどのディナーブッフェは100元ほどで、中国人にとってはたいへんな贅沢だが、日本人にとってはお手軽価格だったので、月に1度ぐらいは行っていた。

しかし、日常的に食べていたのはやはり蘭州拉麺や水餃だった。その店では蘭州拉麺だけではなく、水餃や西安名物のスープ餃子「酸湯水餃」も出していたのでよく食べた。回族の店なので餃子の餡は牛肉で、漢族の店の豚肉餃子よりはるかにうまかった。

蘭州拉麺や牛肉の水餃などは、単にうまかったというだけではなく、いろんな苦労があった留学生活の中での大切な思い出の一つになっている。

2017年に馬子禄が来日

私の周囲には中国に留学して本場ものの味を知り、帰国後も現地の味を求めて食べ歩きをしているという人が何人かいて、定期的に情報交換をしている。そんな留学経験者コミュニティーの一人から神保町に蘭州拉麺の馬子禄ができるという情報が知らされたのが昨年2017年の夏だった。そして、実際食べに行ってみて本物の蘭州拉麺の味だったと聞き、休みの日に朝から行ってみた。オープンから間もない9月の平日。開店は11時だがたいへん長い行列ができるというので10時ごろに行ってみた。確か10時を少し回ったごろに到着したが、すでに4人ほどの先客がいた。

その当時は店の前に3人がけの床几が左右に並べられていて、6番手までに入れば座って待つことができた。

11時になり、食券を購入して席へ。店の奥には、麺をこね、伸ばしている様子が見られて期待が膨らむ。

そして運ばれてきた牛肉麺。見た目は西安で食べ慣れていたものよりもちょっと豪華。だが、20年ぶりに食べる本物の蘭州拉麺の味だった。

以来馬子禄には月に1度ぐらいのペースで通っている。

馬子禄の蘭州拉麺

この記事のための写真を撮るためも兼ねて馬子禄に行ったのが12月12日。平日の1時半ごろに行ったにもかかわらず、5人ほどが並んでいた。ただ、今なら2時過ぎぐらいに行けば並ばずに座れるだろう。

開店当初は券売機で食券を買う方式だった。今は入り口で口頭で注文するシステムにかわっている。

メニューは牛肉麺一つだけ。細麺、平麺、三角麺から麺を選び、香菜や牛肉などの追加も注文できる。また、香菜抜き、辣油抜きなどもできるし、辣油は無料で増量できるようだ。

店が混んでいるときは常に麺が伸ばされているので運ばれてくるのもはやい。タイミングによっては座って1分もかからずに運ばれてくることもある。逆にすいている時だと5分ほど待つことも。

辣油は増量しなくてもかなりの辛さ。辛いものが苦手な人は辣油抜きにしたほうがいいだろう。

デフォルトでも香菜はのせられているが、今回は香菜大盛りも注文。たっぷりの香菜が別皿で添えられてくる。

私はいつも細麺を選択。ただ細麺だと西安で食べていたものより一回りほど細い。打ち立ての手打ち麺は十分にうまい。ただ一つだけ不満を言わせてもらえれば、小麦自体の味はあまり感じられない。

味のほうは西安でいつも食べていたものよりかなり洗練されているように思う。例えるなら、故郷の友達と東京で久しぶりに会ったらすっかり都会に馴染んであか抜けていたといった感じだ。とはいえ、昨年開店した当時から味は変わっていない。日本人に妥協した味になってしまったらもう行くこともなくなるだろうと思っていたが杞憂だったようだ。

底のほうには牛肉が沈んでいるので、すくいあげて食べなければもったいない。

この店はハラール認証もとっており、中国とは縁がなさそうな国のムスリムの客を目にすることも多い。

馬子禄 牛肉面
ジャンル:ラーメン
アクセス:地下鉄半蔵門線神保町駅A7番出口 徒歩3分
都営新宿線神保町駅A7番出口 徒歩3分
住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-3-18(地図
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情報掲載日:2019年1月10日

馬子禄牛肉面の場所

神保町の書泉グランデ前を小川町方面に歩いて1分ほどの位置。

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