人間安定化すると保守的になる。このブログを始めたころはいろんな店を食べ歩いて開拓していったものだが、最近はどうも行く店が固定化してきている。まあ、重ねて行く店はうまい店だから問題ないのだけれど、ここらでいっちょう初心を取り戻して新しい店をまた開拓したいと思い立った。
何度でも言うが刀削麺は西安料理ではない
水曜日は上野に行く日。上野に行くとついつい老酒舗に行ってしまう。あそこはもう本当にはずれがない名店なのだ。
だが新規開拓である。
とりあえず湯島の坂をえっちらおっちら登って本郷に行ってみた。
本郷三丁目の交差点を曲がり、北に向かうといくつか中華の店が並んでいた。
交差点に一番近い店のランチ看板を見るとなかなかいい感じのメニューが並んでいる。だが、その先に「西安」という文字も見えていた。
とりあえずそっちを見てみて、ダメそうなら戻ろうと思い、近づいていくと刀削麺と書いてある。
これは何度も言うが、刀削麺は山西料理であって西安料理などではない。
日本には刀削麺を西安料理だと詐称して売ったやつがいて、一部のアホが刀削麺は西安料理だと固く信じているが、それは讃岐うどんを福岡料理だと言っているようなものだ。
中国人は商売に関してはちゃっかりしているから、日本でそういうアホな認識が広まっていると知るとそれを利用してアホを取り込もうとしている。
ということで西安料理を掲げながら刀削麺を売る店なら入る価値はないなと思って近づくと、
こんな看板が出ていて「ヨウポ麺」と見える。
刀削麺は西安料理ではないが、油泼面なら西安料理である。なので入ってみることにした。
とりあえず油泼面を注文。
ランチメニューを見ると、油泼面以外は西安と特に関わりがない料理が並ぶ。
料理が来るまでの間、グランドメニューを眺めていると、水煮牛肉や干煸豆角などの四川料理に「西安式」などとついている。
刀削麺が西安料理だなどと思ってる連中はこれを見ても特に疑問をもたないのだろう。そして水煮牛肉が西安料理だなどとまた頭の悪いことを言いふらすのだ。
ただまあ、そういうインチキな名前をつけているものだけではなく、ちゃんと西安の凉皮などもあった。しかし、凉皮はデンプンを固めたものだから広い意味で春雨なのかもしれんが、春雨というのもどうだろう?
そんなこんなで運ばれてきた油泼面は知ってるやつと違った。
油泼面は日本で言う汁なし麺。これは普通の汁そばの半分ほどだが麺がスープにつかっている。
麺は刀削麺。
スープはすこし酸味があり、唐辛子だけではない独特の香辛料の味もする。見た目はアレだが味は確かに油泼面だ。平日ランチに容赦なくニンニクを使ってくるところも好感をもてる。
だが、刀削麺はこね方が足りないのか茹ですぎなのか、刀削麺らしいモチモチ感はなく、柔らかすぎな感じ。
自分は麺にコシがないと発狂するたぐいの人間ではないから、別にコシなどなくてもかまいはしないが、看板に刀削麺を掲げるわりには今まで食べてきた刀削麺と比べるとレベルが一段低くなる。
味付けがよいのでまずくはない。だが、麺のできにちょっと不満という微妙な評価。
食後またグランドメニューを眺めていたら、羊肉泡馍があった。聞いてみるとランチの時間でもつくってくれるらしい。
この店ではもう刀削麺は食う気がしないので、次は刀削麺などと違い正真正銘の西安料理である羊肉泡馍を食べてみようと思う。