沖縄に住んでいたときは、庭で育てている人からゴーヤーをもらいほうだいだったのでまず買うことはなかった。
ゴーヤーをゴーヤと止めるやつは死ねばいいのにと思う。
沖縄でゴーヤーといえばまずゴーヤーチャンプルーだ。沖縄に住む以前、何度か現地の様子を見るために旅行した。
初めて沖縄を訪れた時、最初に食べたのがゴーヤーチャンプルーだった。沖縄を代表する郷土料理であるゴーヤーチャンプルーがおいしくいただけなければ、沖縄に住むのもむずかしかろうと思っていた。そして、初めて食べるゴーヤーチャンプルーは非常にうまく、沖縄に引っ越すはずみがついた。
場所は那覇の牧志公設市場の2階。
あそこはエスカレーターで上がった正面の2軒は商売っ気が強く、観光客を引き込もうと手ぐすねを引いているが、それ以外はわりと呑気で地元客もわりと入っていた。自分が住んでいた当時、2階の食堂街の中に客家系台湾人がやっている店があり、そこでは沖縄料理の他に客家料理なども食べることができた。
豆鼓とゴーヤーの相性がよすぎる
ゴーヤーチャンプルーがうまいといっても、さすがに食い飽きたというころ、その客家系台湾人の店でゴーヤーの豆鼓炒め的なメニューを見つけ、食べてみた。
ゴーヤーを豆腐や肉とともに炒め、タマゴでとじるゴーヤーチャンプルーに対し、それはゴーヤーを豆鼓味で炒めてあるだけというシンプルなものだったけれど、ゴーヤーチャンプルーとはまた違う味わいでうまかった。
それ以来ゴーヤーをいただくと、自分で作るとわりとめんどくさいゴーヤーチャンプルーよりは、豆鼓味で炒めることが多くなった。レシピは自己流だが、それなりに店で食べたものに近い味にすることができた。
沖縄から本土へ戻り、ゴーヤーはもらえなくなって、食べる機会はぐんと減った。本土で買うと高いし。
しかし暑くなると無性に食べたくなるものである。
この前八百屋に言ったらグンマー産のゴーヤーが1個100円で売られていたので買ってきた。本土で育ったゴーヤーは変に色が薄いものが多い。
ゴーヤーは縦半分に切って、種をスプーンでほじくり出す。白い綿の部分に苦味成分モモルデシンが含まれているので、苦いのが嫌いならしっかりこそげ落とすのがいい。
2mmか3mm、測って切っているわけではないが、5mm以上には厚くならないように切って、1分ほど湯通しする。モモルデシンは水溶性だから茹でると流れ出る。そのかわりビタミンCも失われる。
弱火でニンニクと豆鼓を炒め、香りと味を出す。
湯通ししたゴーヤーを加えて軽くなじませる。
醤油、砂糖、塩、鸡精と水少々を加えてさっと炒めたらできあがり。
五行相剋では塩気は苦味を抑制するので、多少塩気が強めのほうがゴーヤーに合うし、ご飯もすすむ。
牧志公設市場は建て直しのために現在営業中止中だそうだ。あそこはあの古臭い感じがいいのだけれど、いままでの市場の建物は1972年に建てられたというからもう50年近く経っており、建て直しもやむなしかもしれない。でも、あまり小綺麗にしてしまったら、観光客の足は遠のくのではないかと思う。