前回大山を訪れたときのこと。遊座大山商店街をふらふら歩いていて、中華料理店を見つけたものの、ランチ看板の内容があまりにもひどかったので、その正面2階にあるタイ料理屋のプリックタイに入った。
で、食べ終わって2階から降りてきた時にふとその中華料理屋に目を向けると、ひさしのところに輝記ワンタンと書いてあることに気づいた。
もしかして実は香港系の店だったりするのか?と思って帰宅後調べてみると、どうもこの店はもともと「輝記ワンタン」という店名でスタートした、沙县小吃の店だったことがわかった。
それが現在「輝記」という店名になり、まあ十把一絡げのどうでもいいようなランチメニューを出しているのは、大山という場所柄からだと思われる。
池袋からほど近い大山だが、中華に関してはろくな店がないし、タイ料理は明らかにデチューンしている。つまり、住民が求める味のレベルが低いのだ。
そんなところで沙县小吃を出しても理解されなかったのだろう。高田馬場の「沙县小吃」ですら、本来のメニューに加えて日本人向けのメニューを出すようになって劣化しているのだから仕方がない。
実はうまい沙县小吃の店だった
沙县小吃というのは福建省沙县の小吃の総称であり、福建を起源とするチェーン店の名称でもある。
店の入り口に近づくと、拌面、扁食の看板がすみっこにあった。それでまだ沙县小吃を出していることに安心して入店。
ランチメニュー。まあひどいもので、しかしこれが大山の住民に合わせた結果であろう。
グランドメニューの中に拌面と扁食を発見した。セットメニューも用意されている。
他のメニューはというと四川料理やら小籠包やらだ。そういうのじゃないと売れないのだろう。
先客に中国人がいて、でかい声の福州語で喋っていた。福州語は台湾語の祖先であるからいくつかの単語を聞けばわかる。
拌面や扁食をメニューに残しているのは、福建の人たちも訪れるためではないかと思う。
ということで拌面と扁食のセット。
拌面は、高田馬場の沙县小吃や上野の日本沙県食坊のものより麺が太めで汁気が多い。
拌面なのだから当然混ぜる。
おそらくはだし汁で伸ばしているのか、ピーナッツバターの風味は抑えめになり、ただ、口の中の水分が奪われることなく食べやすい。
味はどっちが上ということはない。これもさすがに福建拌面のベースを外しておらず、素朴な味わいでうまい。
そういえばこの店のことを調べていて、拌面がピーナッツバターを使ったちょっと甘い麺だとか書いているバカがいた。たぶんピーナッツクリームとピーナッツバターの区別がついておらず、福建拌面を食ったこともないのだろう。
ピーナッツバターにも多少の砂糖は入っているものの、ピーナッツクリームのように甘くはない。さらに醤油なども加えてあるから、甘い麺だなどということはない。
扁食は他の店の扁食より肉は少なめ。
ただ、油葱酥、つまり揚げエシャロットが浮かんでいる。油葱酥は台湾料理でも多く使われる。
台湾人の多くは、福建からの移民と平地原住民との混血の後裔で、台湾料理には福建料理の要素が濃く残っている。
油葱酥が入っていることでぐっと味わいがよくなる。油葱酥が入っているだけでポイントは急上昇だ。
この扁食、つまりワンタンが店名から消えたということは、大山界隈の住民には理解できない味だったのだと思う。それはまあしかたない。仕方ないから池袋のほうに移転すればいいのにと思う。
中華料理 輝記
ジャンル:大山駅×本格中華料理
アクセス:東武東上線大山駅 徒歩1分
住所:〒173-0014 東京都板橋区大山東町55-6 1F(地図)
ネット予約:中華料理 輝記のコース一覧
周辺のお店:ぐるなび 板橋×中華料理
情報掲載日:2019年8月20日