日本人が外来の言葉をその意味を理解しないまま適当に使うのは文明開化以後に西洋の文物が入ってからのことではなく、例えば成仏だの縁起だのといった漢語化された仏教用語もたいてい間違って使っている。つまり日本の伝統である。
でまあ、パッガパオガイだのパッガパオムーだのといった、ガパオと肉を炒めたものをご飯に添えた料理がなぜか「ガパオ」と略されて何一つ疑問に思われていないのも、こうした日本の伝統の上に成り立っているということなのだと思う。
以前栃木県の片田舎にある実家の近くの喫茶店に家族で入ったおり、メニューにガパオライスがあった。こんな田舎で、しかもタイ人以外がまともなパッガパオを作れるはずがないと思って自分はスルーしたのだけれど、なぜか興味をもった父が注文した。
でまあ、案の定出てきたのはひき肉炒めをご飯に乗っけただけのもので、ガパオのかけらも入っていなかった。なぜ言葉の意味も知らずに平気でいいかげんな詐欺商品を売れるのだろう。
ということで、この「ガパオの素」というのをスーパーの片隅に見つけたときは、ガパオの素ってなんだよ種かよってツッコミを入れずにはいられなかった。
予想に反してけっこうちゃんとうまい
しかし、一応手に取って原材料名をチェックしてみたところ、バジルが入っている。このバジルがガパオだとは限らないが、そんなに高いものでもないので試しに買ってみた。
作り方には豚肉となっているのでパッガパオムーを想定しているようだけど、豚肉はないので無視。
鶏もも肉を丁にして使う。
鶏肉に火が通ったら一度火を止めて「ガパオの素」を投入。
この時点でガパオのかけらも見えないのでこれはやらかしたかと絶望しかけた。
しかしまた火をつけて炒めるとちゃんとガパオの香りが漂ってきた。
どうも細かいガパオがいっぱい混じっているようだ。
タイ米に添えてできあがり。
きゅうりがあったので、タイ料理屋っぽくスライスして乗っけた。
味はそれなりにちゃんとタイ料理。150円程度でこの味ならお買い得。
ただ、唐辛子がいっぱい入っているように見えてそれほど辛くはないので、肉を炒める時点で足しておけばよかった。
あと仕上げにナンプラーを加えればもっとうまくなったと思う。