昨夜近所のセブンに立ち寄ったおり、カップ麺のコーナーに「新発売」というポップがついていたので何気なく見ると、この蘭州牛肉麺味のカップヌードルが置いてあった。
カップヌードルで蘭州拉麺を再現できるはずはないと思いはしたが、まずは食ってみなければわからないと購入。カップヌードルを購入するのは何年ぶりだろうか?おそらく10年以上はたっていると思う。しかしカップヌードル一つが180円とはずいぶんお高くなったものだ。
1ミリも蘭州拉麺を感じない
わざわざ特製辣油なるものがつけてあった。
「スッキリしながらもコクのあるスープに、爽やかなパクチーの香りと辣油の辛味がたまらない」とある。
この時点で、日清食品が蘭州牛肉麺の本質を一切理解していないことがわかる。
蘭州拉麺というのは、日本のラーメンと違い、スープだけごてごて凝っていれば麺はクソまずい中華麺でもいいというたぐいのものではない。
比するべきは讃岐うどんや日本そばだろう。
讃岐うどんや日本そばは麺そのもののが主役であり、汁やつけダレは麺のうまさを引き立てる存在だ。これが本来の日本の麺食文化であって、「まずスープを味わうのが通」みたいなラーメンのほうが異形である。
だからその異形なラーメンの文化から蘭州拉麺を理解することはできない。
もちろん、カップ麺で蘭州拉麺の手打ち麺を再現することは不可能だろう。
しかし、だからといってあたかもスープが主役であるかのごとき日本のラーメンと同じような扱いは、西安留学からの数十年来の蘭州拉麺好きとしては受け入れがたい。
そして、日本人向けのカップヌードルがハラール認証を受ける必要はなかろうが、しかしわざわざ豚肉を使うというのも意味がわからない。
蘭州拉麺は回族の食文化から生まれたものだ。だからこそ戒律で許された牛肉を使った牛肉麺が生まれた。
ハラールフードである必要はないが、イスラームの食文化という観点を外したら蘭州拉麺とはいえない。
カップヌードルにそこまで求めるのか?
ただの牛肉麺として売るのであればそこまで言わないが、「蘭州」を冠するならばそこまで考えるべきだろう。
中にはいわゆる謎肉と、タマゴっぽいやつ。
香菜も使っているはずだがネギのほうが目立つ。蒜苗は入っていない。蒜苗については日本だと高いので入っていなくてもしかたがない。
お湯をそそいで3分。
「特製辣油」をかけてできあがり。
多少香菜の香りがしないでもない。
10年以上ぶりでカップヌードルを食べるので、この麺が他のものと共通なのか、これ用に開発されたものなのかは不明。
一口食べてみると「蘭州拉麺だな」というより「カップヌードルだな」という感じ。
留学時代まで含めれば蘭州牛肉麺を100杯以上食べている身として断言するが、一切蘭州牛肉麺は再現されていない。
変にしょっぱすぎて、カップ麺としてもうまくはない。
こんなものに180円も払ったかと思うと悔恨の極みである。
もちろん、最初からカップヌードルで蘭州拉麺を再現することなど無理だということは食べる前からわかっていた。だが、ここまでひどいとまでは思わなかった。
「蘭州」を冠していなければ別に文句はいわないし、そもそも買うこともなかったはずだ。今後もこれを売り続けるなら、せめて「蘭州」の文字は外して売ってもらいたい。